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絵本でつたえたいこと①平和

ひだまり舎の出版テーマのひとつ、「平和」。

平和について考える、といっても、いったいどうやって?
そもそも、平和って、どんなことでしょう。

きっかけは、絵本

私が子どもの頃は、戦後30年〜40年くらい。両親は、戦争の最後の方でうまれたという年代です。母は、私にあまり戦争についての本やテレビ番組を見せたがりませんでした。

テレビで見た戦争についての番組を見たあとは、なんども戦争の夢をみてしまいました。

小学校4年生のとき、学級文庫にあった1冊の絵本に出会いました。こわくてこわくて、でも、何度も繰り返しよみました。

『猫は生きている』(作・早乙女勝元 絵・田島征三 理論社)

空襲の中を生き残った猫のことを描いた絵本です。

それまでにも、教科書や本の中で、戦争のことをよんだことはありましたが、この絵本を読んだあと、私は「戦争は絶対にいやだ」というきもちを強く持つようになりました。

私が「平和」について考えるようになったきっかけは、この絵本との出会いだったのです。

よもや、30年後に田島征三さんとお仕事をさせていただけるとは、このときはもちろん、思いもしませんでした。(ひだまり舎の最初の絵本『ちきゅうがわれた!』国弘和毅・文/田島征三・絵 この話はまたいずれ)

戦争を知る

平和について考えようと思うとき、その反対側にある、平和でない状況=戦争のことを知るということがどうしても出てきます。

ゲームのなかで、戦闘を体験したり、銃を撃ったりミサイルを発射したりしている小さな人たち、またはおとなの人たちは、リアルな戦争のことをどう思うのか?

日本では、終戦の8月15日前後に戦争関連の書籍が書店に並び、テレビ番組でも特集が組まれます。実際にそれを見ているひとがどのくらいいるのでしょう。

広島、長崎以外では、戦争教育、あるいは平和教育というものをほとんどされていないのではと思います。そういう教育を受けていない私たちにとって、日本の過去の戦争はすでに「歴史」で、いまは実際にはおこるはずがないと思い込んでいるのです。

ウクライナやガザの戦争や世界各地の戦闘状態を目にしても、どこか、遠い国の出来事で、大変だな、でも自分のいるここには関係のないことと思ってしまう。

ウクライナやガザのひとたちも、戦争が始まるまではそんな風に思っていたかもしれません。日常の裏側にひそんでいる、戦争の影を見ることが出来るかどうか、あるいは、それを知っているかどうか。

絵本を通して小さい人たちに戦争を伝えるということは、その影の存在を知らしめること。その影を知って、そちらではない平和の光の方を求める心を育てることだと私は思っています。

『子どもの十字軍』との出会い

『子どもの十字軍』(ベルトルト・ブレヒト文 はらだたけひで訳・絵 ひだまり舎)は、1941年に書かれた叙事詩に新たな訳と絵をつけたものです。

ウクライナの戦争がはじまり、戦争がもはや影ではなく現実になってしまったときに、はらだたけひでさんが制作されました。

1939年第二次世界大戦中のポーランドで実際にあったとされる、子どもたちの大移動。戦争で親や家を失ったこどもたちが、平和な土地を求めて歩く。でも、それは簡単なことではありません。飢えと、寒さと、長い道のり。こどもたちは道に迷い、雪の中をさまよいます。子どもたちは、どこにたどり着くのか…

この絵本をはらださんに初めて見せていただいたとき、胸の奥になにか大きなものがつかえたような感覚になりました。ひと月ほどその胸のつかえをかかえて悩み、ひだまり舎5周年企画として出版することを決めました。

決して、楽しい絵本ではありません。よんで、幸せな感覚を得る絵本でもありません。

でも、この胸のつかえ、苦しさこそが、平和を希求する心にそだつ芽になるものだと信じたい。そう思いました。

子どもの十字軍

広島の折鶴再生紙

『子どもの十字軍』制作の中で、なにかできないか考えているときに、ふと、以前に紹介された広島の折鶴再生紙のことを思い出しました。

広島の平和の子の像に捧げられたたくさんの折鶴。その折鶴を再生し、印刷出来るようにした紙がある、本作りで何かつかえないか、と印刷会社のかたが持ちかけてくださっていたのです。

この紙のことを思い出したとき、ぜひどこかで使いたいと思ったものの、さてどこでどのようにつかうのか…?本文にするのはちょっと難しい。見返しは?見返しには印刷を入れたい。考えた結果が、カバーの中の、本体の表紙にするということでした。

いろいろな色の折り紙の再生紙。たくさんの色の粒が散らばった綺麗な紙です。

折鶴再生紙「平和おりひめ」をつかった表紙

表紙を作って残った部分で小さなカードも作りました。
ひだまり舎BOOKSTOREで『子どもの十字軍』をお買い求めのお客様にプレゼントしています。

原画展や朗読

2024年2月のはらだたけひでさんの個展を皮切りに、各地で『子どもの十字軍』の原画展や朗読会、はらださんの講演会を開催していただいています。

『子どもの十字軍』原画展 はらだたけひでさん朗読

はらださんの原画は、おどろくことに、絵本よりも小さなサイズの、精緻な切り絵です。火の粉や雪まで、ひとつぶひとつぶ、手作業で作られています。原画を並べて展示すると、その色使いの美しさに改めて驚きます。この絵本のつらさは、この美しい色使いによって救われていると感じます。

夏には山梨県身延町平和絵本の集いにはらださんがよばれ、100人もの方がお話と朗読を聴いてくださいました。原画もたくさんの方に見ていただけました。

2024年11月末には、茨城県常総市ではらださんの講演、朗読が予定されています。ご興味のある方はぜひお問い合わせください。

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